DEUSを探して
昔、中世の時代までは、人類は神や仏の教えと言われているモノを中心として社会を形成してきた。
それが今のような人間至上主義、自由主義、つまり1人の人間とはかけがえない存在であるという考えに取って代わったのは、人類史から見るとごくごく最近のこと。
そして、現代。
変化は確実に、しかも考えられないスピードで押し寄せてきている。
AIという意識なき知恵の力は私たちが私たち自身であることすらあいまいにしてしまい兼ねないという。
親しい人に相談した。
そこにはやはり不安はあっても、一抹の恍惚も感じられない。
「まぁ、それでもいいじゃない。」
確かに。一介の釣り人ごときが人類の行く末に憂いたところでたかか知れている。自分は自分の道を行けばいい。
ただ、それにしてもやっぱり衝撃的な本だった。
イスラエルの人類史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ博士が書いた「ホモ・デウス(HOMO DEUS)」。昨年から世界的なベストセラーとなっている本。
DEUSとはゼウス、そのものずばり神のこと。
AIや、バイオテクノロジーを使って近い将来、特定の人類が自らを神にアップデートするというあまりに強烈な未来予想図だ。
何より衝撃的だったのは、人間を含めた全ての生物はただのアルゴリズムに過ぎない、という内容。
おい、ちょっと待て。
確かに多くの科学者は極めて真面目かつ優秀で、今日の人類の繁栄を築いてきたまさしく張本人に違いない。
だからと言って、実験室の閉鎖された環境から導かれた結果でそこまで言っても許されるのか。
自分自身とは、魂とは、幻想に過ぎないと言うが、果たしてそうなのか。
じゃあ、このアホなアングラーが氷雨の降る中、
指先が真っ赤になり、感覚が無くなるまでスプーンを投げ続けるのも脳内の錯覚、アルゴリズムだけが起こしていることなのか。
科学者たちよ。
あなたたちは分かっていない。いや、もしかしたら分かっていても、認知出来ていても証明出来ていないから口に出来ないだけなのかもしれない。
大したことじゃないかもしれないけど、私たち釣り人は知っているよ。
山には美しいDEUSが宿り、
川には精霊が舞っていることを。
例え文明に神や人間の魂が必要とされなくなっても、それは確実に存在していて、分かる人にはいつの時代も通じるだろうということを。
まだしばらくは、デジタルは所詮デジタルに過ぎない。
私たちには、感じる魂があるのだから。
さぁ、解禁。
森羅万象の中にひっそり息づくDEUSたちに会いにゆこう。
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