Autumn Leaves(枯葉)

〜 一枚の枯葉に、幾千の郷愁(きょうしゅう)を 〜


良い季節になりました。


秋が深まると、乾いた空気の中で揺れるススキの穂や枯葉が見たくなる。

見るだけじゃもの足りなくって、大好きな秋の香りを吸い込みたくなる。

風に吹かれて、カサカサこすれあう音に耳をそば立てたくなる。


春や夏と違って、空気の密度が薄くなり何となくものさびしいけど、それがとても心地よい。


ここ最近、休みになると、1人であてどなくフラフラとドライブすることが多かった。



そしてそんなフラフラは決まって標高の高い森(きっと馬鹿や煙の仲間なんでしょう)。


やっぱり、空気と風が下界とは全然違う。



ジャズの世界で「枯葉」と言えば、多分世界中で1番演奏される曲。スタンダード中のスタンダードだろう。


プロもアマチュアも、ジャズ・ミュージシャンでこの曲は演奏したことがない人は、まず間違いなくいない。それぐらいの有名曲。


元々は、第2次世界大戦後にフランスで作曲されたシャンソンだったんだけど、ビング・クロスビーやスタン・ゲッツ、そしてマイルス・デイビスやビル・エヴァンスといった有名ジャズマンがそれぞれのスタイルで演奏し、世界中に広まっていった。


そんな中でも僕の一番はボブ・バーグが”In the shadows"というアルバムで演奏している枯葉。(写真は違うアルバムのですね・・・。)


もう、30年近く前に弟に聞かせてもらった古い演奏で、それこそ数えられないくらい聴いているけど、いまだに聴くとつま先まで軽く電気が走る。


もちろん、多感な青春時代だった頃の思い出だからというのもあるだろうけど、それにしたって格好いい。


特に特に、後半のサックスソロあたりの演奏がたまらない。


複雑な色彩を放ち、不規則な軌道を描きながら舞い落ちる枯葉のようなサックスのフレーズを、


乾いた疾走感と、美しい透明感でまるで枯葉を舞い上げる風のようなギターカッティングがあおりたてる。


ベースがウッドベースじゃなく、エレキなせいもあって、いわゆるムードあふれるジャズとは全然違っていて、お酒に例えるならば甘さなんか一切ない、辛口のとっても強いヤツ。


オトコノコはまず強くあれ。そして何より美しくあれ。


そんなことを教えられるようで、本当に僕にとってはかけがえのない1曲です。


この曲を聴きながら、尾根沿いを走る道路から紅葉を眺める。


いわゆる観光地の見渡す限り美しい紅葉~、みたいなのにはそれほど魅力を感じなくて、人知れず1本でポツンと立っているような木が好きだ。


むやみに群れない、孤高な感じがするからかな。


散りゆく枯葉たちは、彼らの一生の中で、おそらく落ちる直前が最も美しい。


僕自身も出来ればそうありたいと願っている。



そして気温が下がり、冬の気配が漂い出すと、


天空のブルーはより一層鮮やかになり、

湖面にその色が流れ込み、季節が始まる。


~ そういえば、スプーンの形って葉っぱに似てる。 ~


アングロのHOBOスプーン。この色にはえらい懐かしさと愛着を感じてたんだけど、なんでだろうって思い返すと、ダイワのダンサーがオーバーラップしてたことに気づいた。配色はほぼ同じで、ダンサーは魚の側線とエラをシンプルにデザインしてた。小さい頃によく投げてたなあ。


サトウオリジナルのアンサー。数年前まではこの湖で、このスプーンで爆釣してました。

このカラーはお願いしてペイントしていただいたオリジナル。


ルアーフィッシングってどこか、子どものオモチャ遊びに似ている。それがこの遊びの楽しさであり、美しさでもあると思う。


シリアスにベイトライクなルアーや、トンがった魅力的なアクションをするルアーもいいけれど、どこか愛嬌があったり、愛着が持てるようなもので釣れるとアングラーの子ども心は大喜びだ。


例えばこのカラーで釣れたら、サイズに関係なくそれはそれはきっと嬉しいだろう。


リールだってそうだ。


ここまで色々遠回りしてきたけど、やっぱり湖は渓流や本流の釣りとは違い、そんなにキンキンの性能じゃない方がオモチャ遊びっぽいムードがあっていい。


最近の国産リールがまるでパワフルな電気自動車のようなものだとしたら、僕のカーディナル54は数十年前からン十万キロ走ってきた後の軽自動車みたいなシロモノ。


リーリングする度にデカイ音で「ジィー、ジィー、ジィー。」と高齢者を馬鹿にしたようなサウンドを出すし、時々意味不明なシャリ感が発生したりもする。


でもそれがいい。


だってコイツを使ってると、小中学生の頃、鼻水すすりながらオンボロタックルを振り回してたあの時代に戻れるような気がするから。だから変にパーツ交換なんかしないで、このままがいい。帰ってメンテをするのも、楽しみの一部だ。


しかし、この湖は数年前からどうも調子が悪い。そしてその原因も大体分かっている。


もし、それを正そうとすれば、おそらく釣り以外のこともたくさんしなくちゃいけないだろう。


でも、そろそろそうなってもいいかな、とも思う。自慢じゃなくて、僕自身はもうここで十分いい思いをさせてもらった。


健やかな子どもゴコロを養うには、当たり前だけど健全なフィールドがないとダメだ。


ルアーフィッシングという楽しく、美しいオモチャ遊びを未来の子どもたちがここで思う存分楽しめるように、何をすればいいか。何が出来るか。


この日唯一の遊び相手は30㎝ちょいのバス。ただしヒットルアーがコレだったから、喜びは倍増。


やっぱりバスにはこんなカラーのルアーが一番似合うと思うのは、僕だけ?

リールだって期待通り。国産ならスムースかつパワフルに寄せてしまうであろうこのサイズ相手にヒイヒイ言ってた。


巻き上げは遅いくせにパワーもなくって、ドラグも不安定。ラインが出だすと一気に、「ジィーッ!!」だ。


それをオットットとしながらファイトする。こういうのって、本当、最高です。


結局この日はこれ1匹だったけど、十分満足。



枯葉舞い散る湖で、いつかのノスタルジーを夢見つつ、ヴィンテージにさしかかってきたオヤジがオールドっぽいタックルと金属の枯葉たちとともに遊ぶ。


今年もスプーンの季節が始まる。


Angler's lullaby

アングラーズララバイ ~ 釣り師の子守歌 〜