Azure(アジュール)
Azure(アジュール)とはもともとはフランス語で、美しい青色を意味する。
パーマークにはどうやら遺伝的な特徴が現れるらしいが、体色はこれとは違い、その生息する環境に適応するらしい。
黒と碧が強いこの水域の岩や石はそこに住むヤマメたちの模様に自然の絵の具を落とす。
そして、釣り人はその美しいブルーを求め、水辺に降り立つ。
もう一つ。
最近知り合いになった若者がこの水域の地域興(おこ)しを始めた。
ヤマメが好きで好きで、大学の水産学部で魚類学を学び、故郷にUターンしてきた彼。
その情熱を買われてか、最近、20代半ばにしてとうとう漁協を運営する中心人物の1人にまでなった。
もうあまり年のことは言いたくないけど、私のちょうど半分の年齢。そのまっすぐな眼にはまだまだ幼さが残るけど、その志は高く貴い。
ここは、そんな彼が住む水系でもある。
数日前の大雨のせいか、この日この川の水量は多かった。
渓流・源流のヤマメのミノーイングで使うロッドも、リールも、ルアーもほぼ自分の中で固まってきているのだけど、ラインだけはまだ試行錯誤の真っ最中。
PEライン+フロロリーダーを今はメインに使っていて、操作性と感度はやはりず抜けて良いのだけど、一旦糸フケが生じてしまうとその伸びのなさのせいで瞬く間に感度がゼロになる。
今シーズンここまで何回か、ゆうに尺上を超えるヤマメが手元に何の感触もないのにくわえたミノーに違和感を感じて吐き出し、その大きな口を嫌がってガバガバと左右に振る光景を見た。初めはその意味が分からなかったが、よく考える内にそれが糸フケのせいだと気がついた。
PEの伸びのなさは、ヤマメがミノーをくわえているのにロッドに何も伝えてこないという原因になる場合があるのだ。
ミノーをスライドさせるために糸フケを出す釣り方は、特に大物に有効だと感じているけれど、反面バイトをとりづらいというデメリットがある。
ならばと今回は伸びのあるナイロンでスタートしたのだが、慣れていないのもあるだろう。今度は強い流れのせいでレンジキープが出来ずにミノーがすぐにうわずってしまう。PEのコンマ6号とナイロンの4ポンド(1号)、素材の比重うんぬんよりその太さの違いでラインにかかる水圧の方が気になった。
結局この日は、強い流れにのせればそれほど糸フケも出ないだろう、と思いPE+フロロに戻した。理想のセッティングを目指してまだしばらくは色々なラインを試してみようと思う。
いつもサイトにアップする時は撮った写真に若干加工を加えている。
加工、と言っても元々その魚が持つ色彩を際立たせるもので、元々赤い色を持っていないヤマメを赤くすることは出来ない。
そして、この日釣れたヤマメの画像のコントラストを強調すると、そのパーマークからは美しい青が確かに浮かび上がってきた。
写真の撮り方も毎回毎回試行錯誤している。
すでに何パターンか引き出しはあるのだけど、最近は有名なフライフィッシャー、佐藤成史さんがyoutubeでレクチャーされている撮り方にチャレンジしている。
この日はあいにくの曇り空で、その美しさを十分に収めることは出来なかったが、それでも何回か試す内に少しだけそれっぽく撮れるようになってきた。
こんな試行錯誤もこの釣りの大きな楽しみ。
魚のコンディションはその目と体色に現れる。
まだグロッキーでなく、元気な状態では、横たえた時にもの憂げに下を見るような、魅力的な視線を見せ、体色は釣った直後のまま、鮮やかだ。
逆にグロッキーだと、眼圧が上がるのか、眼が大きく飛び出てきて生気のない顔になってしまい、体色も色褪せてくる。
いつも短時間で良い写真を撮って早くリリースしようと心がけてはいるが、こちらもまだまだ修行中。
釣り進む中、初めての沢にしては上出来な一尾に出会えた。
体側の流れる落ちるようなオレンジ色はここ宮崎ではよく見るデザインだが、パーマークはやはり美しい青。
友人にも手伝ってもらい、その姿を記録に収め、元の流れへと戻した。
そしてこの日一番の美景をしばらく眺めた後、
同じくこの日一番の美男子に出会うことが出来た。
ヒットルアーはアングロのウッドベイト5CDR。
美しい魚を美しく釣り、美しく記録に留める。
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