フェノメノン

やっぱり何かが弾けてしまったようだ。


ほぼ1ヶ月以上、心の奥底深く、暗いところにあるコアを手探りでまさぐるように、沈黙の中で自問自答を繰り返してきた。


それは、パッと現れ、求めている色彩や香りを頭の中で放つのだけど、しばらくするとまた忘れてしまいそうになる。そんな感じの何か。


何だかこのタイミングを逃すと、とても大事なものを失うような、そして二度と掴めないような気がした。


随分悩んだ。そして、20数年来一緒だった相棒に別れを告げた。


それは多分儀式だったんだ。だから、しなくても良かったのだけど、あえてそうした。


そんな中でも相変わらず釣りには行ってて、


フィールドにいる間はいつもとても楽しく過ごさせてもらった。


だけど、1人になるとボウっとして、どうにも虚しくて苦しい。


それは嫌なことではなく、本当に欲しいものが見つかったから。


でもまだそれが遠くにあるから。


こうなってしまうともう、文章だって、写真だって、今までずっとやってきたスタイルが呪縛に変わる。書く気が起こらない。


このまま続けていくことに意味が感じられない。


結局、つまるところ、この前の投稿で書いた「美と真実のみを追求し、他のことを忘れる。」ことに本気で手を出してみたくなったのだろう。


そのためには変わらないといけない。


そんな気持ちをはらんで臨んだ釣り。目指した谷はものの見事に、見たことがないくらい荒廃しきっていた。


ここまでだともう逆に清々しい。


むしろその時の僕の心によく似合っていた。


「…え?行くんですか?」


露骨に嫌な顔をする後輩くんを無理矢理引き連れて、嬉々としながら木々のしかばねを乗り越えた。

しかし、たどり着いた流れの先に魚は皆無だった。

もう一本別の谷に入ったけど、そこもダメ。


ヤマメ釣りでノーフィッシュなんて、いつ以来だろう。


でも中途半端に釣れるよりはずっとマシだった。これで良かった。

やっとまた始められる。そんな感じです。


全てはこの方のブログ。

ここまで自分のハラワタを引きずり出して、ぶちまけて、心のひだをさらけ出して、なおかつ、だからこそ美しい。


写真と文章が溶け合っているのは、変に無理矢理書こうとしていないから。

判で押したような定型句なんかは一切使わないから。

写真に対して言葉が自然に湧き上がっている。


万人受けするとは思わないけど、少なくとも僕には稲妻が落ちた。 衝撃でしたね。ずっと見てました。

釣りとは全然関係ない内容だけど、色や風景や言葉は僕が欲しいものにかなり近い。


その影響で新しくカメラを買った。


PCも、RAW現像ソフトもいずれ。

そして、言葉も。


どう変わるのか、どこへ行くのか、そんなことはやり続けてみないと分からない。


ただ、直感には忠実でありたいと思う。あれこれ考えたり、むやみに並べ立てたりするのはもうやめる。


もしかしたら今度こそ、僕は僕になれるのかもしれない。

Angler's lullaby

アングラーズララバイ ~ 釣り師の子守歌 〜