My Favorite Things
"バラをつたう雨だれや
子猫のひげ
ピカピカの銅のやかんや
あったかい羊毛のふたまた手袋
紐で結ばれた茶色い小包
それがわたしのお気に入り"
(中略)
"白いドレスに青いサテン帯の少女たち
わたしの鼻やまつ毛にかかる雪の片
春の訪れとともにとけてゆく白銀の冬
それがわたしのお気に入り"
”犬に噛まれたとき
蜂に刺されたとき
悲しい気分のとき
ただわたしのお気に入りを思い浮かべるの
そしたらそれほど悪い気分じゃなくなるわ”
有名なミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の中の1曲。「マイ フェイバリット シングス」の邦訳。
物心ついた時からもっぱらジャズ・フュージョンをメインに聞いていた僕は、実を言うとこのミュージカルや映画はまともに見たことはなくて、ジャズミュージシャンがカバーした演奏ばかりを聴いてここまで育った。
だから自然とこの曲に抱いているイメージは原曲の世界観よりはダークで、淡く複雑な色彩を持っている。
何はともあれ今季ヤマメ最終釣行。
いつもの友人(ヘビメタ好き)と2人、心が折れるような大雨の中、川の近くまで車を走らせ、ビオワインで乾杯。互いのここまでの労をねぎらい、今シーズンを振り返り、明日への希望を語る。
翌朝、絶望的だった天気予報とはうらはらに雨は降っていない。むしろ灰色の雲の合間からは時折青空が顔をのぞかせている。
9月になってからは毎週末必ず雨模様というアングラー泣かせの天候。
やっと最後になってGR3を気兼ねなく使うことが出来る。ここぞとばかりに、初めてスローシャッターなんてものもやってみた。
天気は良いから、歩いていてとても気持ちがいい。
森も久しぶりに本来の色彩を見せてくれる。
しかし、肝心のヤマメが釣れない。それも全くと言っていいレベルで。
5㎝前後の新子が間違って時折遊んでくれるけど、それだけ。
尺はおろか、7寸クラスすら影も形も見えない。
仕方がないので、僕はいよいよカメラマンモードになってしまう。
夏には尺上を筆頭に、かなり良い思いをした沢。満を持して乗り込んだのに。。。人の足跡はなかったが。
釣れないと魚の付き場も当然分からない。
友人もピンスポットで見事なキャストを決め続けるが、どうにも良くない。
「戻ろう。あの沢に行こう。」
釣れない釣りは距離ばかり稼いでしまう。ずいぶん奥まで来てしまった。小走りに急いで来た川を下る。
2本目の川に着く頃にはまた空模様が怪しくなってくる。
パラパラと雨が降り出し、チラホラとヤマメが姿を見せてくれる。
今年も色々あった。もう僕も気がつくとそういう年頃になってきたということだろう。
釣りでは、久しぶりにミノーを使いだし、いくつかのメーカーのものを試した。
ところがタイミングとは不思議なもので、この日釣りに行く前日、この店のブログに春送った写真が載せられていた。
ある程度やった人なら分かるだろうけど、これだけトラウトルアーが流通する中、
もう少し言うと、ルアーはきっと大人のオモチャなのだ。
ビックリするほど美しいもの、シャープな動きをするもの、素早く沈むもの、浮くもの、ちょっと高いもの、手頃なもの。
体調を崩して、先に車に戻った友人を尻目に、最後の最後に入った泣きの数百メートル区間。
正直、「最後に奇跡が〜」なんて話し、今まで僕の釣り人生には全く無縁でした。
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